八重坂城跡(京都府綾部市)
城跡は京都府綾部市篠田町/向田町にあって、当時の街道筋とも見受けられる、八重坂峠の南西に聳える標高219mの山頂に位置している。今となっては、この峠越えの道が生活道路として利用されているとはとても思えないが、城跡の築城環境から察すれば、城郭の峠監視を兼ねた機能は充分窺えそうには思われるのである。城史に関しての詳細は不明であるが、物部城を居城とした上原氏一族、あるいはその家臣の居城が伝わっている様である。
城跡を訪れるには、既にリポート掲載を終えた木坂城を起点とすれば、その所在位置は分かり易いとは思われるが、485号沿いにある「慈眼寺」を目印として目指し、付近に辿り着けばルート図に記した赤線を辿れば送電鉄塔のある城跡の位置は直ぐ確認出来るだろう、ただこの周辺には鉄塔が多く立ち並んでいるので、ルート図から正確な位置を見極める必要はあるが、、、城跡までは東郭を経た最短直登ルートと、メンテナンス道を利用した山道ルートの二通りが考えられるが、ここでは前者のルートで山上主郭まで上り、下山をメンテナンス道を利用して安全に下りられる事をお勧めしたい。距離を歩くのが苦にならない方は、自ずと後者の選択となるが、メンテナンス道入山口も分かり辛く、更に途中で山道が分かれているので、迷わず辿り着けるとはとても言えないのが難点だが、、、
現状(九月)城跡は、メンテナンス道と鉄塔周辺は、何とか移動にも難渋せず、外見から視認による遺構の判別確認も可能な状態にあるが、それは郭跡の一部だけに言える事で、メンテナンス道から一旦外れると、郭跡からその斜面に至るまで踏み入る事も出来ない状態にあり、密生する草木によって切岸もろくに拝む事が出来ず、更に踏破も非常に困難な状況となっている。よって判別確認可能な遺構も限られてくるのが現状であるが、今回掲載した画像が唯一遺構画像(主郭とその切岸)として成立したものと思って頂いても良いだろう。当然残存遺構の確認(空堀地形は目に留まった)は元より、郭構成及びその縄張りプランは掴めないままに下山する事に相成ったが、冬季訪問に唯一期待するしか手がないのかも知れない。
城跡を個人的に評価すれば、この満足に見学も出来ない状況を見る限り、絶対にお薦めとは言えないが、綾部の山城に興味を持たれている山城ファンの方だけに、所在地の確認、あるいは現況報告とした形で役に立ったのであれば、それで充分と言ったところか、、、、