圧倒的お手軽感と状態の良い切岸だけは誇れる 能勢吉良居館跡(大阪府豊能郡)
城跡は大阪府豊能郡能勢町天王にあって、国道173線からもその丘陵は直ぐ望める位置にある。名が語る様に吉良氏の居館跡と伝わっているが、この吉良氏に関しての情報は皆無に近いものであり、これからの情報にも余り期待は望めないだろう。ただこの比較的規模の大きい居館跡や、主郭に付随する緩い傾斜を伴う広大な削平地、あるいは切岸処理の行き届いた郭群を窺う限り、能勢においてはそれなりの勢力であった事は充分窺えるが、、、
城跡を訪れるには、国道173号へ進入する事がまず先決となるが、天王小学校を目印として目指せば分かり易い。ルート図に示した天王小学校の位置から、城跡の所在場所は確認して頂きたいが、国道に面している事もあって、城跡の位置確認は容易いとは思われる。入山口は概念図に示したが、ここから郭転用地と見受けられた古い墓地を経由して上れば、直ぐにでも主郭が迎えてくれる筈である。
この城跡は、自分にとっては山城巡りの移動ついでに、何時でも気軽に寄れる環境にある事を理由に、ここ数年間は再訪もせず、リポート掲載も未だに及んでいなかったが、今回は山城巡りの帰路において十分な時間が採れた事もあって、やっと現況をリポートする事に及べた。ただ初回訪問時においては、見通しの利く状態の良い主郭に佇んで、充分な臨場感を味わう事が出来たが、現在では主郭から更に山上に向いて、2m近い高さの獣避けファンスが張り巡らされているので、現状主郭内に踏み入る事は出来ない状況(入山ゲートは付近になかった)となっている。主郭跡に佇む事が出来ないのは非常に残念ではあるが、城域が全て植林地にある事で、郭全体像がほぼ窺える状況から、フェンスのお陰で遺構見学に差し支えるまでには至っていないのがまだ救いか、、、、
遺構見学において一番醍醐味の感じられる部分は、空堀などは一切施されてはおらず、唯一の防備機能とも思えた郭切岸で、下草も蔓延らず当時のままとも言える素晴らしい状態の切岸には、感動させられる事は請け合いとも思えたのである。現状踏破した範囲で目に留まった遺構は、概念図中に記した土塁だけに限られるが、居館としたその佇まいには、その状態の良さも相俟って、充分な満足感には浸れよう。
個人的に城跡を評価すれば、数年経っても初回訪問時よりほとんど変わらない、状態の良さだけは特筆に値するものであり、時期を問わず遺構見学が楽しめるこの状況は、圧倒的お手軽感を含めずとも、間違いなくお薦め出来る城跡の一つと自分の眼には映ったのである。ただ縄張り妙味は感じられず、遺構の見応えは切岸だけに限られるものと思われるので、これを機に訪れる方は、決して過大な期待を持って城跡を訪れない事が肝心、、。
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