« 山登りと遺構見学が同時に楽しめる貴重な山城 カンス岩城跡(兵庫県養父市) | トップページ | 小規模な主郭を三本の堀切で守備 安養寺城跡(京都府京丹後市) »

2011年6月27日 (月)

平通城跡(大阪府豊能郡)

この山城は先にリポート掲載を終えた吉村城の記事中で触れた様に、初回訪問時より比較にならないぐらいの変貌を遂げていた。10年位前の最初の訪城においては、城跡も含めて藪漕ぎしながら巨大な山塊の山頂(城跡遺構とは思えないが広大な規模の平坦地形がある)まで上り、更に東側の峠へ縦走した記憶があるが、城跡を覆い尽くしていた木々は近年植林事業としてほとんど伐採されており、現在はほぼ城跡全体像が窺える、山城としてみれば非常に見学し易く見て廻り易い状態(画像に注目)にある。城史に関しては岡崎宗盛の居城が伝わり、天正期には織田軍によって落城の歴史が伝えられている。恐らくその時にこの城跡は廃城となったものと考えられる事から、現在山上で眼にする事の出来る遺構は、非常に遺構残存度の高い、値打ちのあるものと言えるのかも知れない。

1route2 登城ルート

6 直登取り付き地点

3hira 城跡概念図

城跡は大阪府豊能郡能勢町平通にあって、国道173号が通過する「能勢第二トンネル」の真上に位置している事から、京阪神側から訪れた場合は、トンネル手前付近で位置確認は出来る筈である。ルート図に示した「下田」の信号で左折針路変更して、今回直登取り付き地点とした城跡西麓まで向かえば良いが、路駐スペースは自己責任において、その付近に充分確保出来るとは思われる。前が開けた植林地から上り出せば、山上付近は激斜面となるが、休まず上れば10分程度で山上主郭へは辿り着けるだろう。

城跡の形態はシンプル極まりない事からも、概念図に示した通りと思って頂いても差し支えなさそうには思われるが、踏破した範囲で目に留まった遺構は全て図中に示したつもりではいる。ただし郭跡を除いた斜面上は、下草や密生に近い雑木藪地と化しているので外見からの判断は難しく、縦堀などの遺構に関してはこの限りではないものと思って頂きたい。城跡の形態から考えても、堀切以外で縦堀が施されている様にはとても思えなかったが、、、この山城の見所は二箇所に施された両端が縦堀へ繋がる堀切、切岸ラインの窺える明瞭な切岸跡、主郭内部南側に残る明瞭な虎口跡と言う事になるが、何れも遺構としての見応えには多少欠けるものの、その全体像がほぼ窺える事もあって、見学者の目は充分楽しませてくれる筈である。

9_sita_saigedan_kaku 西二段小郭

13 主郭西壁

13_shukaku_nisigawa 主郭の全貌

16_koguti_1 虎口跡見所

20_horikiri1_1 主郭東堀切見所

21_haigo_horikiri 堀切(東背後より)

24_horikiri_dobasi 明瞭な土橋付き堀切見所

25_tatebori 堀切2の縦堀見所

城跡を個人的に評価すれば、以前この山城を訪れた方の中にあっては、藪城を前にして早々と退散された方も居られる様に感じられるのだが、この木々の伐採された現状(六月)はとても見学し易い状況となっているので、その方々にはこれを機に再びトライして、ほぼ全貌の窺える城跡を楽しんで頂きたいと思えたのである。もちろんまだ未訪の山城ファンの方にも充分お薦め出来る山城とは言えるが、規模や縄張り妙味は最初から絶対に問わない事が前提とはなるだろう。

« 山登りと遺構見学が同時に楽しめる貴重な山城 カンス岩城跡(兵庫県養父市) | トップページ | 小規模な主郭を三本の堀切で守備 安養寺城跡(京都府京丹後市) »

大阪府の山城跡」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 平通城跡(大阪府豊能郡):

« 山登りと遺構見学が同時に楽しめる貴重な山城 カンス岩城跡(兵庫県養父市) | トップページ | 小規模な主郭を三本の堀切で守備 安養寺城跡(京都府京丹後市) »

無料ブログはココログ