能勢 吉村城跡(大阪府豊能郡)
城跡は大阪府豊能郡能勢町栗栖にあって、既にリポート掲載を終えた森上城跡の川を隔てた真東の丘陵上に位置している。城史に関しては戦国期に吉村盛光の居城を伝えるが、対岸に位置する森上城を居城とした、能勢氏との関係まではリサーチするまでには至っていない。
文献資料に登場する北摂にある主だった山城は、自身の拠点に近い事もあって少なくとも二回以上訪れた計算になったが、今回リポート掲載に及んだこの山城だけは、以前栗栖城のリポート記事中で述べた様に、その所在地が中々掴めずにいた。その後外部情報により所在地は何とか判明したが、その実態までは把握出来ず長い間訪問を先送りにしていた(残存遺構に余り期待が持てないと勝手に決め付けていた)。しかし、つい最近この山城へ赴かれた、何時も激励のコメントを頂戴しているブログ読者の方から、「山上郭には堀切が備わっていた」との鮮度の高い情報を得、それなら一度訪問してみる価値はあるとの思いから、やっと今回訪城への運びとなった。尚、今回の山城巡りでは10年ぐらい前に訪れた時のアナログカメラの記録では情報も古く、見学にも差し支える藪城と言う事もあって、中々ブログでの紹介もし辛かった平通城(車移動数分の距離にある)も再訪となる形でついでに立ち寄ったが、初回訪問時とは比較にならないほどの状態にあったので、その現況報告に関しては概念図作成終わり次第リポート掲載予定。
現状城跡は、知名度に欠ける山城としては、この時期(六月)にも拘らず比較的見学し易く見て廻り易い状態が自然維持されているが、郭内部は倒木や堆積物によって荒れ放題と化しており、主郭周囲を廻る帯郭の切岸や、主郭内における僅かな段差での郭構成は、この曖昧な地形からは非常に判別し難いのが現状でもある。その様相は概念図である程度想像して頂きたいが、明確にそれと分かる遺構は、郭跡を除けば郭切岸跡(僅かに)、主郭背後を断つ堀切(ほぼ横堀)、堀切から立ち上がる土塁(高さは失われているが分厚い幅)と、限られたものになってしまう。城跡を個人的に評価すれば、対岸に位置する森上城の遺構が素晴らしいだけに、縄張り妙味、残存遺構の見応え、規模共に比べるまでのレベルには達していないが、限りなく無名に近い城跡にしては、土塁及び堀切が拝めるだけの理由で、北摂の山城に興味を持たれている山城ファンの方だけにはお薦めしたいと思えたのである。
城跡を京阪神側から訪れるには、当然森上城を起点とすれば一目瞭然の位置にあるが、国道173号「山辺口」の信号南一筋目を右折すればよい。直登取り付き口はルート図あるいは概念図を参考にすれば直ぐ分かって頂けるだろうが、植林地となっている藪漕ぎのない激斜面ルートを上り切れば、10分足らずで山上主郭が迎えてくれよう。尚、この激斜面を避けたい方には、相当歩く事を余儀なくされるが、ルート図に示した「洞雲寺」からの比較的上り易い鉄塔メンテナンス道で山上を目指し、山上尾根から少し下る形で城跡を目指せば良いだろう。ただし城跡の位置する枝尾根への分岐点が分かり辛いのが難点、、、
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TAKUさん本当にお久しぶりです!猪名川のイッシーです!吉村城跡に行かれたみたいですね!本当にちいさな規模の城跡でしたが堀切があり自分にとっての初めてこれは堀切だとわかった城跡でした!またこれから暑い季節になりますがお身体にお気をつけて山城跡訪問頑張ってください!
投稿: イッシー | 2011年6月23日 (木) 19時57分
TAKUです、イッシーさんお元気そうで何よりです。
イッシーさんの情報が、この山城に訪問するきっかけを私に与えてくれましたが、最近多くの山城を踏破されている分、自身が思う以上に目も養われているのではないでしょうか。以前コメント中でイッシーさんが訪問された、平通城もついでに再訪して来ましたが、藪化が深刻化していた初回訪問時よりは、比較にならないほどの状態にあつたのには驚きは隠せませんでした。やっと城跡の全貌を掴む事が出来ましたので、平通城のリポート掲載は、是非楽しみにしていただければと思います。
これから夏季にかけては、ダニと薮蚊との戦いが待ち受けていますが、イッシーさんにはそれ以上に遺構見学であり、山城巡りを楽しんで頂きたいと思います。バイクの運転にはくれぐれも気をつけて、、、
投稿: TAKU | 2011年6月23日 (木) 21時25分