鶴城跡(兵庫県豊岡市)
この城跡は個人的には二度目の訪問となるが、低山の山上はほぼ全域が郭跡とも見受けられ山上における郭占有面積は大きく、畝堀あるいは石垣跡、井戸跡、土塁、堀切など素晴らしい遺構群が目白押しとなっており、縄張り変化にも相当富んでいる事から見て回っても時間の経つのを忘れる程でもあり、見応えのある遺構群は非常に眼を楽しませてくれる、正に推奨に値する城跡と目には映った。
数ある遺構の中でも貴布祢神社のある出郭背後を断つ堀切の高低差は凄まじく、他の尾根を断つ堀切(二本)と並んで城跡最大の見所と言えるものになっている。この三本の堀切と現状相当埋もれているので明確に判別はし難いが、概念図中の東側の畝堀は決して見逃してはならない! 尚、現地案内縄張り図には主郭北壁にも畝堀が記載されてあったが、現状を見る限り低い熊笹で一面覆い尽くされており、中々外見からは判別し難い状況でもある(結果的には確認出来なかった)。
城跡へは国道178号からルート図の如く北から進入しても良いが、豊岡市内から北上すれば川沿いに走り、堀川橋を渡れば登山口でもある公民館横には分かり易く到達出来る。貴布祢神社からも登山口があるが、お薦めしたいのは公民館横に車を停めて妙見堂経由で山上郭群の遺構見学をしながら貴布祢神社に下りて行くルートである。個人的にはどちら側からも上ったが、今回お薦めする方が比較的楽な登山の様に感じられた。
現状(三月)城跡内は一部では下草も蔓延っているが、遺構判別に支障を来たすまでには至っておらず(郭斜面は別)、遺構保全状態も比較的良く、更に樹木も少ない事から見通しも利くので、前述の主要な城跡遺構はほぼ判別確認出来る状態にある。城跡の形態としては自然地形を上手く利用し、山上主郭から四方尾根に郭を展開させた城域の広い山城と見受けられ、低山でありながらも郭斜面は非常に急峻でもあり、畝堀や堀切、おまけに一部郭壁に石垣まで用いた、戦国期における本格的山城の様相を呈しているものでもある。愛宕神社及び妙見堂周辺は神社敷地として後世において多少造成地形改変があった様にも思われるが、郭跡の転用とすれば当然当時の城跡の一部でもあり、戦国期山城を体感する上では大して影響は及ぼさないものとみた。
城跡の南北尾根先端までは踏破確認出来なかったが、山上郭群はまとまったものでもあり、見学し易く更に遺構の判別確認もし易い事から、まだ未訪の方には是非訪問をお薦めしたい山城の一つと言えるのは確かである。
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